声なき声が響く舞台 ― デフリンピックの意義と未来Blog
声なき声が響く舞台 ― デフリンピックの意義と未来
こんにちわ ぐろーあっぷです。
8月も残り少なくなりましたが、まだまだ暑い日が続いて屋外のスポーツは時間をずらすとかの工夫が必要ですね。
今日はデフリンピック(4年に1度開催される世界的な規模の聴覚障害者のための総合スポーツ競技大会)のお話です。
スポーツには、国籍や言語、文化を超えて人々をつなげる力があります。その力が、聴覚に障がいを持つ人々にどのように働いているかをご存じでしょうか?
デフリンピック(Deaflympics)は、聴覚障がい者による国際的なスポーツ大会で、オリンピック、パラリンピックに並ぶ歴史あるイベントです。実は、1924年にフランス・パリで第1回大会が開かれて以来、100年にわたり開催されてきた伝統ある大会なのです。
「聞こえない」ではなく「伝わる」スポーツ
デフリンピックの参加条件は、「55デシベル以上の聴覚障害があること」です。補聴器や人工内耳の使用は禁止されており、純粋に“聞こえない状態”で競技を行います。この制限は、競技の公平性を保つためであり、同時に「視覚的コミュニケーション」が重要な役割を果たします。
たとえば、スタートの合図はピストルの音ではなく、光や手旗が使われます。審判や選手同士のやり取りは手話や身振り手振りで行われることが一般的です。そのため、会場には静けさが漂いますが、その静けさの中にこそ、集中力と緊張感、そして熱い闘志が満ちているのです。
メディアの壁と認知の低さ
デフリンピックは、その長い歴史に反して、日本を含む多くの国で一般的な認知度が高いとは言えません。パラリンピックが年々注目を集めているのに対し、デフリンピックは報道の機会が少なく、選手たちの活躍も十分に知られていないのが現状です。
その背景には、聴覚障害が「見えにくい障害」であることが関係していると言われます。聴覚障害者は見た目には健常者と区別がつきにくく、そのニーズや文化(たとえば、ろう文化や手話言語)への理解が社会全体で進んでいないことも一因でしょう。
スポーツを超えて ― 多様性を問う場として
しかし、デフリンピックは単なるスポーツ大会にとどまりません。ろう者の文化的アイデンティティを尊重し、可視化し、社会に伝えていく機会でもあります。
また、ろう者コミュニティにとって「仲間と出会う場」であり、「自分らしくいられる場」でもあるのです。
2025年には東京で夏季デフリンピックが開催予定です。これは日本初の開催となり、ろう者スポーツの認知拡大や、手話言語への理解促進にもつながると期待されています。
最後に
「聞こえない」ことは、決して「伝わらない」ことではありません。
静かな競技場の中で交わされる視線やジェスチャーには、言葉以上のメッセージが込められています。
私たちにできるのは、その声なき声に耳を傾けること。
そして、すべての人が自分らしく活躍できる社会の実現を、スポーツの力で後押ししていくことです。